第一節 始まり

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「あっ、あれなに!!」  警報が鳴ってから数分経った時、突如クラスの中で大きな声が響いた。クリアが声の方向に目を向けると、窓の外を指差し一人の男子がわなわなと震えている。  指の先を辿って窓に視線を移すと、学校の敷地から700m程、校舎から800m程先に、こちらへ向かってくる幾十もの魔物が見えた。  魔物の群れと校舎の距離はみるみる縮まっていく。あと2分もしないうちに、先頭にいる魔物達は校舎に辿り着くだろう。 ーー緊急事態だ。  現在、学校にいる大人達は戦闘訓練を受けていない、一般人の教師だけである。戦闘員は警報直後に現場へと向かってしまっており、まだ誰も戻っていない。 「み、みんな落ち着いて!落ち着いて!!」  驚き怯える子供達に声を掛ける教師も、その顔は恐怖で引きつり、声は震えている。  警備が整ったこの都市において、今まで警報を聞くことは多々あるが実際に魔物に襲われた事がある者は、大人子供問わず殆どいない。そんな経験があるのは特別な家柄や戦闘員など一部のみである。  当然ながら学校の中は恐怖と大混乱に包まれ、どこからともなく悲鳴が響き渡った。
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