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「イフリート!俺に力に貸してくれるのか!?」
レイトが驚く声を上げながら問いかける。
彼の反応と無理はない。イフリートと言えば、火を司る精霊の中で王と呼べるような存在だ。ミストラルで存在が公式に確認された例はなく、火の下級精霊がその名を口にすることから、存在しているのだろうと推察されていた程度である。
「何を言っている。我の主たる、ミクト・ノエルよ」
「!?」
「如何にかしたのだ?」
「主?ミ、ミクト・ノエル……?」
イフリートの予想外の回答に、言葉詰まる。
「どうした、ミクトよ。ようやく我と契約を結ぶのではないのか。過去に我を呼び出した時は、召喚するだけして、契約を結ばなかったな」
そんな彼を尻目に、イフリートは言葉を続ける。
「……過去?拒否?」
「したであろう。あの時は、元服もまだしてなかった。齢は12だったか?」
「12歳……?」
イフリートの言葉に、どんどん困惑していく。
話しを聞く限り、レイトのことをミクト・ノエルという男と勘違いしてるらしい。
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