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「退屈な話よりも、こっちの方がいいじゃん…!」
この状況の中で、一部の人間に該当する人間ークリアは、笑みを浮かべて小さく呟いた。
この状況を喜ぶわけではないが、遠目から見るに、向かってきているのは見たことのある低級の魔物である。魔物と戦ったことはないが、基礎訓練の一環で対人戦は行っており、戦いへの経験はある。
このことから、決して勝てない相手ではなく、自分の力を試す絶好の機会であると考えたのだ。
「行くぞー!」
混乱している教師、クラスメイトをよそに、教室を勢いよく飛び出して右方向へと廊下を走り出した。すると丁度よく、先ほどまで待ち望んでいたチャイムが鳴る。
このタイミングの良さから、まるで運命に応援されているかのように感じた。
「……ア……て!」
「え?」
走っている時に、後ろから誰かの声が聞こえた気がしたが、チャイムの音でよく聞こえない。急ぐクリアは気にせず校庭を目指した。
先ほどまでいた教室は校舎5階の真ん中にあった。校舎は広いものではなく、端から端まで50mくらいだ。校庭へ出るための扉は、校舎1階の左右にある。教室を出て、建物の端にある階段を降りて一階の扉を開けて校庭に到着した。教室の出口からここまで30秒も経っていない。そこからさらに、校庭の中央まで走っていく。
「来い、魔物!!」
クリアは近づいてくる魔物達の正面に立ちはだかり、挑発するように叫んだ。未知への期待から、その目はギラギラと輝く。
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