第一節 始まり

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「キシャァァ!」  叫び声に反応し、全身が茶色で、頭からクチバシにかけて及び翼の先端30㎝程だけが赤黒い鳥系の魔物ーストルが5体程クリアへ向かってきた。  様相はイヌワシに似ているが、クチバシから尾までの全長は3m程にも達し、両翼の端から端までの長さが5mを超えている。一定レベルの戦闘訓練を受けた者であればソロで倒せるというDランクに分類される低級の魔物ではあるが、一般人にとっては恐ろしい化け物である。  今向かって来ているのは第一陣と言った所だろうか。その後方にはクリアを警戒してか、三十体ほどの魔物がを動きを止めていた。  さらにその後ろから数十体もの魔物が迫ってきている。 「砕けろ!"風撃拳―フウゲキケン"!」  クリアが魔力で風を纏わせた拳を空中前方に突き出すと、纏っていた風が6つ程の塊に分かれ、飛んでいく。  サイズは1つあたり直径5cmほどと拳より小さいくらいだが、2発もしくは当たり所が良ければ1発で、ストル程度の魔物であれば倒す威力を持っている。  風の塊は前方に進みながら周りにある空気を巻き込み、さらに加速してクリアへと向かってくる魔物の身体に衝突した。 「ギャァァ」  風撃拳を食らったストルが叫ぶ。  一体は、風の塊が翼に当たり貫通したことで、飛行能力を失い地面に落下した。もう二体は、腹部に当たり内臓が破裂して絶命した。  辺りには心地の悪い、腐ったような臭いと鉄の臭いが漂った。
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