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「キシャァァ!」
「!!」
しかし、風撃拳の全てが向かってくる魔物に当たるわけではない。一体だけで数個に当たったことから、攻撃から逃れた2体がクリアの目前に迫る。
技を放った直後のクリアは、完全無防備となっており、次の技を出す暇もなく、魔物の接近を許してしまった。
「やらせないよ!"水練壁―スイレンヘキ"」
魔物のクチバシがクリアの顔面を貫く寸前ーーーー突如、声とともに、半透明の壁が魔物の前に現れた。
急降下し高速で襲ってきた魔物達に、突如現れた壁を回避する術などなく、頭部から衝突し息絶えた。
赤黒くドロッとしたストルの血液が壁につくが、すぐに流れて消えていく。
「ルネス、サンキュー!」
待ってました!と言わんばかりにクリアは声を上げる。まるで、助けが来るのを分かっていて敢えて隙を作ったと言わんばかりの余裕の表情だ。
「なにがサンキュー!だ。ずっと呼んでたのに無視したでしょ!」
ルネスと呼ばれた、スカイブルーの髪色をした少年は、笑いながら礼を言うクリアに対し露骨に不満な顔を露わにした。先程廊下で聞こえてきた声はこの少年のものだったようだ。
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