生徒会

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坂を下りながらふと街の方を見る。 ビルなんて殆ど無い俺の育った街。 その向こうに広がる深い青色の海の香りが風にのって俺の鼻孔をくすぐる。 ホント…何の取り柄も無いけど、俺はこの街が大好きだった。 こんな平和過ぎる街に、戦争やテロ、暴動、略奪、強姦、紛争なんて言う暴力的な言葉のひとかけらだって見いだせた者はいないだろう。 しかし、 やはりこの街にも先の大戦の傷痕は50年経った今でも街のあちこちに残っている。 俺はコンクリート製のデカい何かの横を通り過ぎる。 赤褐色に爛れるように錆びた鉄の筒がそこから飛び出している。 それはかつての対空砲陣地だった。 街にもまだ同じように戦争によって破壊された物や使われなくなった軍事施設がたくさん残っていた。 俺は一瞬だけ対空砲を振り返る。 そこには使われなくなった今なお、その錆びた砲身が独り悲しく蒼空を睨んでいた。
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