第一章 ヴィレッタ村へ

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 セツナは天正出身であるが反乱勢力には興味も無く、ある理由からリメリア大陸を旅している。もちろんその間に何度も差別にはあってはいたが適当にやり過ごしてきた。傭兵になったのも生まれや出身を問わず、実力があれば十分食べていけるからだった。  ヴィレッタ村に来た理由はセツナが西の港から東の都へ向う最中であったからだ。まぁ、立ち寄った理由は他にあるのだが…とりあえず長居するつもりは無かった。が、都へ行くために通過しなければならない街道が閉鎖され検問所が出来たしまった。さらに検問所の警備として帝国騎士団まで出て来ている。  帝国騎士団とはリメリアの中心国である武力国家ディグルズ帝国の皇帝直属の騎士団であり、その構成は帝国騎士団育成所というエリート学校を無事に卒業した貴族を中心とした騎士達だ。  聞く話によると上級犯罪集団が街道付近の町周辺で確認されたらしく、警戒と討伐のために派遣されたらしい。ディグルズ帝国と貴族が関わっているとなると他の旅人や商人も大人しく従うしかなかった。  セツナは村から出ようとしていた時に、たまたま村人から町の伝達を聞いたため町に最も近いこのヴィレッタに留まることにしたのだ。もし、セツナが町に行って王国騎士団に会えば東洋人というだけで目をつけられて、いろいろと厄介なことになってしまうからだろう。
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