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「また深夜の道にサラリーマンが襲われたらしいぞ」
「また?これで何件目だよ…」
充は呟く。
前から深夜の道でサラリーマン(酔っ払い)が襲われる話は耳にしたことはある。
そして襲った後は金目の物が全て盗まれるのだ。
最初は自分とは無縁なことだと思って聞いていたけど、短期間で何人も襲われるとなれば、流石に嫌だなと思う。
しかも、いつも襲われる現場が孤児院の近くだからなおさらだ。
「それで、1人の証言によれば、獣に襲われたと…」
「獣?」
武の言葉に充は聞き返す。
獣=動物=変身=アニマルズがすぐ頭の中に浮かんだ。
「でも、その人かなり酔っ払ってたから警察側はあまり信じてはいないんだけどね」
「だろうな…、だがその人の証言が正しいとすれば…、犯人は間違いなくアニマルズの1人だ。…ったく、何考えてるんだよ…。局長と最初に交わした約束忘れたのかよ…」
充はそう言うと、後頭部をぽりぽりとかき始める。
「でも、オイラ達も人のことは言えないけどね…」
「あれは良いんだよ。良い事してんだから…」
「その代わり、動物の姿見られて何度も捕まえられそうになった事あるじゃないか」
「良いじゃないか、俺達の方が足速いんだから…」
すると突然、武の腹から音が鳴った。
「腹…減ったな~…」
「まだ3時間目始まってないぞ…」
充が言い終わると、今度はチャイムが鳴り始めた。
10分休みが終ってしまった。
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