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「最初に戦った時、念のため匂いを嗅いだ。嗅覚が異常に発達しているからな。だから地面の中でもお前の居場所がすぐに分かった」
「くっ…流石はオオカミだな…」
「それに俺はオオカミって名前じゃない。尾崎充だ。お前の名前は?」
「…沼田…沼田順平…」
★
充と順平は空き地の近くにある自販機のベンチに座っていた。
「ラッキー!当たりが出て1本分浮いたよ~!」
武がジュースを3人分買う。
「はい」
武は充と順平にジュースを渡す。
「あ…ありがと…」
順平は武からジュースを受け取り、飲み始めた。
「うまいだろ?オイラのお気に入りなんだ」
「…ああ」
順平は静かに頷く。
「順平…。話戻るけど、何でこんなことを?」
充は真剣な顔をして順平に尋ねる。
「…実は俺…、孤児院…抜け出してさ…」
「何で?」
今度は武が尋ねた。
「正体がばれたんだ…。ばれた以上もうここにはいられないと思って…あちこち歩き回っている」
「だからって…、何で盗みを働いた?」
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