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博麗神社、境内にて向かい合う。
彼我の距離、約5m。
二歩で詰められる距離だ。
敵の外見、女、恐らく十代。金髪で、これまた気が強そうと言うかなんと言うか。
装備、エプロンドレスにとんがり帽子。あと右手に箒。
魔力の放散を確認。
敵個体を、術師タイプと仮定。
……妙な魔力反応あり。魔導具、魔術礼装の類いを警戒。
冷静に、敵を観察する。
勢いで受けた勝負だが、負けては面白くない。
頭に登った血も、少し落ち着いてきた。
体は興奮状態で、心は冷静。
今なら、いい動きができるだろうさ。
「さて、やろうか……」
「ああ、望むところだ!」
魔女は素早く箒に跨がり、見上げるほどの高さに飛び上がった。
……やはり、術師か。
「いくぜ!」
宣言と同時、魔女の周囲に星形の塊が現れこちらに向かい放射された。
速度と密度はあるが、威力はあまりない。当たっても、精々が気絶くらいだろう。
弾幕ごっこ、という言葉を思い出す。
ごっこ。つまりは形式化された、スポーツか決闘のようなものなのだろう。
星々の間を縫って接近。
これだけってことはないだろうが、速攻で決めさせてもらうぜ?
右手にペンを、左手にバヨネットをそれぞれかまえる。
「へぇ、やるじゃないか」
魔女の余裕ともとれる声。
弾幕の隙間にステップで身を滑り込ませながら、右手のペンでバヨネットの刀身に文字を連ね、魔女に向け投射する。
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