初めての弾幕

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「円翔!!」 魔術の完成。 世界を構成する情報子、世界の意思と言い換えられるそれの力を借り、俺は低空を飛行する。 「て、退がるのかよ!?」 魔女から突っ込みが来る。 そう、その言葉通り、俺は全力後退で弾幕の中を退がっていく。 無論逃げるためではない。 「天は愛す その心」 安全な詠唱時間を確保するためだ。 「白にして夜明けの我は精霊(リューン)に命じる、完成せよ」 俺の持つ最速の絶技、この世界では如何程のものか試させてもらうぞ! 「円風!!」 左腕を横一線に薙ぐ。 風が、吹いた。 ただの風ではない。 高密度に圧縮され、如何なものをも断ち切る三条の刃となって、だ。 風は星を切り裂き、そこで相殺。 ちっ、手加減しすぎたか。 「……やるじゃねぇか」 それでもなお、魔女の口許には笑み。 それは、明らかな喜悦。 自分の技が破られたことを、この魔女は楽しいと感じている。 「見せてやるぜ。あたしの火力を」 魔女が手にしたのは、先程のようなカードと、見慣れない六角形の魔術具。 魔力融合炉……? いや、小型化された八卦……!? 集約する魔力に、思考が中断された。 背中が総毛立つ。 「恋符『マスタースパーク』!!」 ほぼ無詠唱で、極太凶悪熱量の熱せんが放たれ、奔流となる。おいおい、こっちの詠唱間に合わねぇよ…… 避ける? 無理。 耐える? 勘弁。 迎撃は? 不可。 どうしたもんかな?
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