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「そう。変わり種ね、あなた」
そう言って、巫女さんが微かに笑う。
長いの髪をリボンでくくった気の強そうな面差しの彼女に、その表情はよく似合っていた。
「私は博麗霊夢。この博麗神社の巫女よ」
あぁ、やっぱり巫女さんだったんだ……
茶を一口すすり、唇を湿らせる。
「俺は刻谷深也。傭兵だ」
うちのボスの言葉を思い出すに、この地に巣食う異変をどうにかしろ、てことなんだろうけど……
せめて資料とか準備期間とかほしかったなぁ……
溜め息をつこうとした瞬間、いきなり後頭部に強く何かがぶち当たり、テーブルと熱い接吻を交わすことと相成った。
鼻が、痛いというより、熱い……
「霊夢~、茶ぁ飲みに来たぜ!」
何か、否、誰かが俺の後頭部の上に着地した。
声からして、恐らく女。少女と言っていい年齢だろう。
「あ? 何だ、こいつ?」
そいつは俺に気付きながら、頭の上から降りることなく踵でグリグリ踏みつけてきやがった。
こいつは敵だ。今決めた、もう決めた。
敵ならば容赦せん。
怒りと痛みに震える手でそいつの足首を掴み、
「お? なん……ぅわっ!?」
力任せに畳へと振り下ろす。
痛そうというより、マズそうな、鈍い音がした。
「ちょっと、埃がたつからやめてよ」
ドライな霊夢の言葉を無視。
空気中に舞った埃に渦を巻かせるように立ち上がり、力強く畳を踏みしめる。
畳の上で何やらピクピクしてる黒いとんがり帽子の魔女コスプレに、鼻血を拭いたがゆえに赤く染まった右手人差し指を突きつけ、
「死んだらどうする――――っ!?」
某先生のように、力一杯叫ぶ。
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