いち

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「アルツハイマー…?」 「えぇ。若年性アルツハイマーです。最近増えてるんですよ」 アルツハイマー それは俺たちの年代じゃまだ無関係のものだと思ってた なのに 葵くんの脳細胞は萎縮して、機能しなくなって 酷く辛い現実だった 「うそでしょ?」 「嘘じゃありません。彼の脳は」 といってMRIで撮られた葵くんの脳の断面図 隣に健常者の脳の断面図が並んだ 見た瞬間かなりの差があった 「現実です」 「……そん、な」 なにも知らない なにも気づかない彼はきっと今 隣の部屋で 「あの、治らないんですか…?」 医師はさぞかし辛そうに悲しそうに顔をゆがめて首を横に振った あの病気は治らないという でも治療薬はあるらしい、が今は取り寄せている段階。だから薬が届いたら連絡をくれるようだ 「そうですか」 「健闘を祈ります」 医師は言った 俺は困って笑った。 隣の部屋に居た葵くんは俺を見つけてふにゃりと笑った とても泣きたくなった .
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