憂鬱を抱きしめられたら

いち

「こーくん。リモコン」

「…え？」

洗濯も終えて二人でのんびりソファでくつろぎながらテレビを眺めてた

リモコンはちゃんとテーブルの上だ

「リモコンないよ」

「葵くん？リモコン、ここにあるよ」

「…うー」

また納得いかない表情をした

葵くんは一体どうしたのだろう

「リモコン、ないもん」

「あるって。テレビのリモコンでしょ？」

葵くんは一体どうしたの

リモコンがないって？

遊んでるだけ？

「そう」

「ほら、これ」

もっかいテレビのリモコンを手にとった

彼はリモコンを凝視してて

まだ納得いかない様子

「あ、葵くん？」

葵くんがおかしくなった？

リモコンを渡してチャンネルを変えると

納得したのかいつもみたいな気の抜けた表情に変わった

「リモコン、わかった？」

「ん、」

もうテレビに夢中らしい

不思議な言動が気になったけど

不思議な言動はいつものことだって

ちょっとだけ軽く受け流した

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