赤いほっぺ

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ぼくは結構人が気を使って笑ったら、見破るって言い方は少し変だけど、わかってしまう。 でも斉藤さんは笑った。 多分ぼくの話が面白かった訳ではなくて、焦るぼくを見てなんとなくおかしくて笑ったんじゃないかな。 そういうとこがなんかいいな、そう思う。 変にでしゃばっておしゃべりな女の子が、たまにこの公園に来る。 嫌いじゃないけど、ぼくはその子の相手をするのが少し面倒だ。 だけど、斉藤さんは黙って人の話を聞いてくれる。 だからと言って目立たない訳ではない。 笑い声が、彼女の武器だった。 大人数でいるとき、他の女の子と2人でいるときよりも、言葉数が少ない。 ただその笑い声があるから、なんとなくみんなに話しやすい空気を与えてくれる。 しかもノリがいい。 空気が読めるからちゃんと対応して、しらけたりしない。 自分の立場をわかっていて、前に出すぎることもなく、一歩引いている。 ……ところで、なんでぼくはこんなに斉藤さんに惹かれてしまったのだろうか。
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