72人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼくは結構人が気を使って笑ったら、見破るって言い方は少し変だけど、わかってしまう。
でも斉藤さんは笑った。
多分ぼくの話が面白かった訳ではなくて、焦るぼくを見てなんとなくおかしくて笑ったんじゃないかな。
そういうとこがなんかいいな、そう思う。
変にでしゃばっておしゃべりな女の子が、たまにこの公園に来る。
嫌いじゃないけど、ぼくはその子の相手をするのが少し面倒だ。
だけど、斉藤さんは黙って人の話を聞いてくれる。
だからと言って目立たない訳ではない。
笑い声が、彼女の武器だった。
大人数でいるとき、他の女の子と2人でいるときよりも、言葉数が少ない。
ただその笑い声があるから、なんとなくみんなに話しやすい空気を与えてくれる。
しかもノリがいい。
空気が読めるからちゃんと対応して、しらけたりしない。
自分の立場をわかっていて、前に出すぎることもなく、一歩引いている。
……ところで、なんでぼくはこんなに斉藤さんに惹かれてしまったのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!