赤いほっぺ

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それで全てを見透かされている錯覚を起こす。 バレたのかもしれない……。 そんな態度、とった覚えないけど、黒田にバレたのかも。 「わかりやすいんだよ。」 どうしてか、黒田がイラついているように見えた。 何かどうしようもない怒りをどこかにぶつけたいかのように見えた。 珍しく感情的になっている黒田に戸惑うしかできない。 1年生の頃から仲がいいと思っていた友達は、奥が深くて、まだまだわからないことだらけだった。 「どしたんだよ、黒田。」 できるだけ優しく声をかけてみても、黒田の怒りを煽るだけだったみたいで、舌打ちひとつして自転車を漕ぐのが早くなった彼を慌てて追いかけた。 それからお互い無言でひたすら漕いだ。 ぼくは黒田がイラついている理由が全くわからなかった。 結局、彼の口から出た言葉の意味もよくわからなかった。 もしかしたら斉藤さんは関係ないのかもしれない。
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