2540人が本棚に入れています
本棚に追加
/324ページ
「―ライジング・ブレイク―!!」
──勇者育成学校。
ここは次世代の勇者になり得る人材を教育、育成、排出する為に十年前に伝説の勇者によって造られた新設の学校である。
今日も、明日の勇者を目指して生徒達は魔法実戦授業で元気に汗を流している。
そんな中──
「ぎゃあああッ!」
一際大きな声を出している少年がいた。
だが、残念ながらその少年が流しているのは健康的な汗ではなく冷や汗だったが。
「あぶねぇ!何で俺ばっかり狙うんだよ!?」
「うっさいわね!いい加減逃げないで降参したら!?観念なさい!」
「お前がさせてくれねぇんだろ!?」
「問答無用よ!」
雷を放つ少女──ラージャから逃げ惑う少年──竜牙は必死に逃げて叫ぶがラージャは聞く耳を持たない。
「覚悟ッ!!」
「ぎゃあああ!」
しばらく逃げていた竜牙だったが、遂に雷をラージャから受け取ってしまった。
「……五月雨に……鳴り響くかな、雷が……」
「大丈夫竜牙君?……それって俳句?」
雷にやられてしまった竜牙を心配して彼の友人──ランドが駆け寄りながら問いかけてきた。
「頭は大丈夫かな……?」
「ランド……怒るぞ」
「冗談だよ」
クスクス笑いながら言うランドに、竜牙も声を上げて笑いだす。
「ほら二人とも!次の授業行くぞー!」
グランドの向こうからそんな先生の声がかかり、竜牙はランドに手を貸して貰って立ち上がる。
季節は5月。
涼しいそよ風が竜牙の青髪を撫でていった。
最初のコメントを投稿しよう!