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 そろそろ着替えも終わろうとした頃、"トットッ" と和室の障子をノックする音が聞こえた。 「着替え・・・、終わりました?」障子の先より、年端の若いおそらくは茜と同い年程度の、 か細い声が問いかける。 「ええ。まぁ」 あとはネクタイを締めるだけだ。 「失礼します。」 スゥーと障子を開くとそこには、鈍色の着物を品良く来た黒髪の少女が居た。  またしても少女____ 蒼甫は思う。13か14歳といったところか。  「そろそろ準備が整いますので、参列をお願いします。」 丁寧に、かつ極めて事務的に蒼甫に伝える。 俯いての、か細い声なので聞き取り難い。こういう静かな場所で無ければ聞き返しているだろう。  「おう。わかったよ、イチマツ。 」 蒼甫の代わりに佐伯が応える。こちらの声は逆に必要以上に良く通る、非常時には拡声器の代用品としてもってこいだ。
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