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男が目覚めるとそこは 夕焼けに染まる湖畔だった。
ここは、どこだろう?
男は辺りを見渡すが、これといって手掛かりになりそうな目印は何も無い。
正面には葦やらまこもが群生する、コンクリートによる整備が為されていない湖岸。対岸には茜色に染まる空に夕陽がゆっくりと、凪いだ湖面に吸い込まれるかのように沈んで往く。
背後には、 高さにすると六尺(約1.8メートル)ほどの堤防が緩やかな曲線を描き湖岸をなぞって伸びている。そして所々に松の並木、その立派な枝振りは男に植栽への頓着はなくとも感心をさせるものだった。
確か、俺は寝室で寝ていた筈だが
頭を捻っても全く解らない。 夢かとも思ったが______それにしては具体的に過ぎる内容だ。そもそも夢ならこうまで頭は回らない。
自分の目覚めた場所を見やる。 些か草臥れているがしっかりした造りの丸大の椅子。頭上には藤を絡ませた棚が、屋根代わりを勤めている。堤防の松に同じく、この藤も樹勢が頼もしく感じられる。
そこで男は自分の身なりに気付いた。 上半身は裸、下は下着一丁。とても外では歩けない格好だ。
ここで焦りを感じ始める。
何時の間にか、寝室から来たことも無い夕刻の湖畔へ、着の身着のまま放り出された状態。
このままでは訳も判らずに下着姿で夜を迎える事となる。
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