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 驚愕に言葉も出ない青年の心境を知ってか知らずか、少女は歩み寄る。  伸ばせば手の届く距離まで蒼甫に寄り、ジッとその目を見つめ。  少女の瞳に己自身が写るのが判った、と同時にその瞳にまたもや驚かされてしまった。  蒼甫を写す少女の大きな瞳____  その虹彩は薄桜色だった  一瞬カラーコンタクトかとも思ったが、コンタクトを着用した事のある蒼甫は、直ぐに彼女の虹彩の色は生まれ着いた色なんだと気付いた。  この子は本当に人間なのだろうか? 疑問が頭を過ぎる。  陶磁器の如き、白い滑らかな肌  スラリと完璧なバランスで配置された肢体  淡く透けてしまいそうな程に軽やかな 腰まで伸びる亜麻色の髪  薄桜色の虹彩  まるで  まるで人ぎょ・・・  「蒼甫さん、質問が在ります」  呆けて忘我の淵を迷っていた蒼甫は現実に戻された。 思わず慌ててしまう、今考えていた事が顔に出ていなければ良いのだが。  「 何でしょう? 僕に答えられる範囲でしたらお答えします」   彼女を前にすると、敬語を使わざるを得ない。生まれ持った格が違うとでもいうのだろうか? 他の者がかしずいているのも、容易に理解出来る。  十は歳が離れている青年が敬語で接して来るのを、少女はちょっと困った様な笑みを浮かべ応じたが、すぐに真顔になりこう問いた。「貴方のご親戚の中に、南方出身の方はおられるかしら? 良く思いだしてみて」
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