216人が本棚に入れています
本棚に追加
ジリリリリリリリリ!
8月15日 AM7:30……小さなアパートの一室で目覚まし時計の音がする。
六畳半の、クーラーの効いたひんやりとした部屋。この部屋にある家具といえば勉強机と本棚だけ。
床にはプリントや衣服などが散乱している。
そんな静寂な部屋にけたたましく鳴り響く目覚まし時計。
俺は布団から腕だけを出し音のする方へと手を伸ばす。
ピッという音と共に眠りを妨げる雑音が止んだ。
そして再び眠りにつこうと寝返りをうつ。
間もなくするとドアの向こうからドタドタと足音が聞こえてくた。
俺の部屋のドアの前で止まる足音。勢いよく開くドア。
そしてなにより…眠気を吹き飛ばすような高く大きな声。
「洸お兄ちゃーん!朝ですよ~!」
この声は……怜香か……。
瞼を微かに開くとそこには黒髪のポニーテールに純白のワンピースを着た少女が居た。
霧月 怜香(キリツキ レイカ)……俺の実の妹で中学三年生。家事炊事などは怜香に一任している。
静かにしていれば素直にいい妹なんだけどね……。
まあ高校生にもなって妹に起こされる兄もどうかと思うけど……。
そう思いながらもまた瞼を閉じようとする俺。
「あー!お兄ちゃん!朝ですよー!」
そう言いながら怜香は布団を引っぺがす。
最初のコメントを投稿しよう!