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「夏休みなんだからもう少し寝させてくれないか……」 夏休みになるとつい気が緩むんだけど……誰でもそんなもんさ。 しかし俺の発言を無視するかのように、怜香は閉まっていたカーテンを勢い良くあける。 鋭い日差しが俺を直撃し、目をぎゅっと瞑る。 「もー!そんな事言ってると怠けちゃうよ?」 怜香はイタズラっぽくそう言い、俺を退けるように敷布団を引く。 敷布団からずり落ちる際に後頭部がフローリングの床にぶつかる。地味に痛い。 少しして俺は頭を掻きながら上半身を起こし欠伸をする。 夜更かしはしてないんだけど、どうも朝はニガテなんだよな。 怜香はせっせと布団を押し入れに押し込んでる。 まぁ布団は怜香に任せとけば大丈夫だろ。 余談だが俺達の両親は俺がまだ中学生の頃に事故で亡くなった。 俺が高校に入学してからはバイトの給料や親戚の僅かな仕送りに助けられながら、二人で平凡に暮らしている。 そのせいか怜香はすっかり家庭的になったな。 俺はおぼつかない足どりで洗面所へと向かう。 洗面所の大きな鏡に映るのはなんともやる気のない霧月 洸(キリツキ ヒカリ)、つまり俺の姿。服装は真っ白のTシャツに黒いジャージのような半ズボン。髪の毛は黒髪で後ろ髪が少し跳ねている。 まず顔を洗い次に歯を磨く。顔を拭いてから洗面所を後にする。リビングへ行くと怜香が誰かと電話をしていた。 「あっ!洸お兄ちゃんちょうどいいところに来た!お電話だよー」 こんな朝っぱらから誰だ?
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