エピローグ

3/4
前へ
/209ページ
次へ
僕は毎年、これを言うようにしている。 確かめるように。絶対にその感謝を忘れないように。 そして、こんな会話をしていると、決まってツッコミが飛んでくるのだった。 「俺はいたんじゃなくて、いるんだよ」 僕の頭をポカンと叩いたその人は、まさに僕のお兄ちゃんだ。 「まったく、毎年毎年やりやがって。新手の嫌がらせか!」 あの後、お兄ちゃんは助かった。 それはかなりのキセキだった。 助かった理由を聞いてもお兄ちゃんは決まって、「神様っているんだな」としか言ってくれない。 それでも、別によかった。 お兄ちゃんがここにいることが僕の幸せなんだ。 天国にいるお兄ちゃんも、きっと僕の幸せを微笑みながら見ていてくれている。 そういうお兄ちゃんだった。 「さていくか」 お兄ちゃんがベッドから重たい腰を上げた。 ドアから出て行こうとするお兄ちゃんに「待ってよ晃くん~」なんていいながら、お姉ちゃんがついていった。 そんな二人の後姿を見て思い出す。 お兄ちゃんの言葉を。
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加