一章

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俺は案の定ボコボコにされた。     それでもヒーローだと浮かれ、 痛みもさほど感じなかった。      人生甘くない。     この言葉が深くわかった。    この日から俺へのいじめが始まった。     まず友達がいなくなった。    巻き込まれたくはないのだろう。     失うものが大きい分、 得るものも大きいはずだった。        彼女とは、連絡がとれなくなった。     理由は大方想像できる。     彼女もまた、 目を背けたのだ。     こうして全てを失った。     残ったのは俺に対するいじめだけ。     いじめられていた男子生徒も学校をやめてしまった。       そんなことがあって現在、半年間いじめに耐えた俺は、 自ら命を絶とうとしていた。     「よし、これで大丈夫」     最後にやっておくべきことを済ませ、 ふぅと息をはく。     さっき買ってきたシュークリームの袋を手に取った。    俺の大好物。     なぜ好きになったかは憶えていないが、 小さい頃から好きだった。    向こうの世界にもあることを願う。     ああ、うまいな。ちくしょう。    
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