少女と少年

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空は雲一つ無い青空が広がり、町は人々で賑わっている。 ここは世界で唯一の王が住む王都[キングダム] その王都の道を一際目立つ白のローブに身を包んだ二人が歩いていた。 一人は腰まである長い黒髪を優雅になびかせ、顔も素晴らしく美しい少女。 もう一人は、男にしては少し長い赤髪を持ち、こちらもカナリ美形な少年。 二人は、道の端に並ぶ店を眺めながらのんびりと歩いていた。 「なあ、少し休もうぜ?俺もう疲れて歩けねぇよ」 赤髪の少年が怠そうに言う。 「ダメに決まってるでしょ?すでに約束の時間過ぎてるんだから」 少女は立ち止まっている少年を軽く諌めると、スタスタと先に行ってしまう。 「あっ!!待てよ、アリス。待てってば!」 数メートル距離が開いてから、少年はアリスという少女を慌てて追いかけた。 「待てと言われて待つような暇は無いわ、ノエル」 アリスは一瞬振り返って軽く笑うと、スピードを上げた。 「あってめぇ!ぜってぇ追い越す!!」 ノエルは、距離を縮めようと走り出した。 ぐんぐんスピードをあげ、数秒もしないうちにアリスを追い越すと、そのまま全力疾走で一本道を突き抜ける。 「あーあ、行っちゃった。場所分かってるのかな? まぁ、この道真っすぐ行けば着けるか」 アリスはそう呟くと、すでに見えなくなりそうなノエルの背中を見つめていた。
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