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そうと決まれば急いで着替えて居間に向かわなければ!
二人はバタバタと走り回った
「ちょっと姉ちゃんこれどうやるの?」
「貸しなさい!あ、胸見んな!」
「見なきゃ出来ないだろ?」
「いいから目を瞑ってなさい!」
そういうマヤは素早くズボンをはいてシャツに手を通していた
「よしこれでいいわ」
ものの数秒で服を着せてくれた、マヤは母よりもよっぽど家庭的だった
「はやく降りよう」
シンヤが先陣を切って階段を降りる
ドドドドドドという音と共に居間に転がり込むシンヤの視界に、角が生えてもおかしくないご機嫌斜めの母がいた
「朝はちゃんと起きなさいマヤ…毎日言ってるじゃないの」
朝ごはんを作っている背中越しに早速小言の猛襲を浴びるシンヤ
要領のいい姉はわざと弟を先に進ませ居間の扉の影から抜き足差し足食卓に向かっていた
食卓には新聞を読む父がいるが、特に何も言ってこない。朝の喧騒には全く興味がないらしく、開いた新聞の向こうの表情すら読み取れない
「うまくごまかしなさいよ」
とシンヤに向かって口パクで命令するマヤに、シンヤもマヤの顔で苦しそうに顔をしかめる
「で?また夜更かしでもしてた訳?」
料理の手を止めこっちを向いた母は案の定「般若」みたいな顔になっていた
「いや、あの、そのぅ…」
「ゴホン」
モジモジシンヤにマヤが咳払いをする
「あの、体調が悪くって」
「そうなの?大丈夫かしら?」
一瞬般若の顔が無くなった
母はシンヤの額に手を当てて熱を見ている
「熱は無さそうだけど…」
心配してくれている?
「お腹が痛くって、今日は学校休もうかなぁ」
シンヤは大袈裟にお腹を抱えてしかめっ面になった。
このまま学校に行かなくて良いなら二人が入れ替わったのをばれる心配もない!
今日1日時間もあるなら状況の整理もつくし、解決策や原因も見つかるかもしれないと考えたのだ。
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