出会い

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窓の外では蝉がうるさく鳴いている。 教室はエアコンが効いているから良いが、蝉はさぞ苦しいだろうに。しかし。 ――退屈だ。毎日毎日、聴き飽きたオーケストラでも聴かされている気分になる。保健室にでも行こうか・・・・・・。いや、あそこには昨日も行ってしまったな、行くわけにはいかん。 俺は仕方なく、昨日見たテレビの批判やら、女の子とイチャイチャする妄想やらをして、窓の外を眺めることにした。  本日最後のチャイムが鳴った。 やっと、退屈なオーケストラからも解放された。ささっと荷物をまとめて帰るとしよう。 はやぶさの如く荷物をまとめて教室を出ようとしたとき、後から声がした。 「誠!! 飯でも食いに行こうぜ。」 声の主はトーマスだった。 こいつは俺と軽音部で一緒に活動しているバンド仲間だ。 ちなみにトーマスとは、本名ではなく軽音部の先輩がつけたあだ名である。本人も気に入ったらしく、その名で呼んでいる。 さて飯に誘われた俺だが、飯が食いたいほど腹の減っているわけでもない。 「すまん今日はそんな気分じゃないから俺は帰る。」 と、トーマスの誘いを軽やかに切り抜けると俺は、そそくさと下駄箱に向かった。 下駄箱から靴を出そうとした俺だったが、そういえば読みたいラノベが図書室にある事を思い出した。 悪いなトーマス、今の俺はラノベが読みたいんだ。 俺はトーマスに見つからないように、図書室に向かった。
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