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寂しいような、ほっとしたような感じがあたしを襲った。
夕方になって、一人で夕食を済ませる。
冬夜が帰って来て食べられるように、簡単な物を用意しておく。
あたしは、先にお風呂に入り、早めに寝る事にした。
アトリエの前を通ると、ドアが少し開いている。
あたしは、そっと中に入った。
廊下の電気の明かりが、ドアから差し込み、キャンパスを照らす。
このキャンパスに、あたしがいるーー…?
冬夜から見たあたし。
どんな絵なんだろう…。
あたしは、キャンパスに手をかけ布を取った。
こ…これが……あたし……?
そこに描かれていたのは、月明かりを浴びて海辺を歩く裸の天使の絵だった。
綺麗な夜の青色と、海と、月の光の絶妙なバランス…。
裸の天使は、エッチっぽくなくすごく惹きつけられる。
これが……冬夜の絵……。
絵の事はわからない、素人のあたしでもわかる。
優しくて繊細な冬夜の絵…。
どうしてだろう…。
涙が頬を伝って止まらないよー……。
あたしは、後から後から溢れてくる涙を、必死でおさえた。
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