月を抱いて眠る夜

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あたしは、リビングのソファーに座って、冬夜がお風呂から出て来るのを待っていた。 心臓…まだ、ドキドキしてる。 どうして? 何で、冬夜は、あたしにキスなんてしたの? “わからないのか?” 冬夜の言葉が、リピートする。 …………わかんないよ。 あたしは、唇をそっとなぞる。 トクントクン……。 初めてのキス…。 あたし、冬夜とキスしちゃったんだよね…。 思い出して、顔が熱くなる。 逃げ出したいくらい動揺してる自分が、何だかおかしくなる。 しばらくして、冬夜がお風呂から上がって来た。 濡れた髪の毛を拭きながら、冷蔵庫からビールを取り出す。 そんな冬夜に、なぜか緊張…。 『飲むか!』 おもむろにビールを突き出す冬夜に、あたしは、ブンブン顔を横に振った。 『いつも飲むの?』 『んぁ?あぁ、風呂上がりに一杯はな。瑠那はもう寝てるから、知らないだろうが…』 し…知らなかった…。 いつも、先にお風呂入らせてもらってたから。 お湯も、汚さないように上がる時はチェックしたり…。 これでも、気を遣ってたんだから。 冬夜は、ビール片手に、ドカッとあたしの隣に座る。 な、何故隣に!? ドキドキドキドキ…。 『さて、さっきの話の続きだが…』 『は…はい…』 こ…怖いよぅ~。 まともに、顔見れない…。
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