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知らず知らずの内に彼女に負担を掛け、あまつさえそれすらも気付けなかったから。
そして、"そう思いながらも何も出来ないから"
傷付けるには十分過ぎる。
少なくとも自分以外に彼女をああさせている人物に心当たりはない。
まだ彼も彼女もあまりに幼く、友人もいなかった。
毎日のように遊んでいたのは他ならない自分なのだ。
傷付ける事が出来たのは密以外にいない。
自然、答えは明白である。
「……………」
薫が道を曲がり、密はその姿を追えなくなった。
行き先は同じ。
だが彼女の曲がった道は、普段、密が通学に使うことのない道だった。
「同じ道さえ歩きたくない……か」
拒絶なんて生易しいものじゃない。
これはもはや断絶の域にある。
「学校………行かなきゃな。」
小さく溜め息を吐いて鍵を閉める。
幼なじみの曲がった道を曲がる事なく、密は学校を目指した。
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