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大抵の生徒はこっちを利用する。
もちろん密も普段はこっちだ。
ただ辟易してたがための、意味のない行動。
何も変わらないと嘆くのにも飽き、少しだけでも変えたいと思ったのだ。
意味なんてない。
結局、何一つ変わらない。
それでも…………
「………あ」
何時もの風景に"小さな変化が紛れ込む"
丁度、下駄箱に辿り着いた時。
相澤 薫がそこにいた。
早々に教室を去っていた筈の彼女が、今まさに靴を取り出そうと手を伸ばし……そして、密に気付いて動きを止めていた。
顔が密に向けられている。
そう、それもまた、変わらない日常との小さな差違。
彼女の瞳が揺れている。
無表情の中に驚きが潜んでいた。
彼女は靴へと伸びていた手を下ろし、密へと向き直る。
このタイミングで彼は口を開き―――
「よ……よぉ、今帰り」
「質問に答えて紫藤君。」
最後まで待つことなく、幼なじみは声を被せてきた。
「貴女と私……この2日間で、こうして鉢合わせしたのは何度目?」
小さな差違が大きくなっていく。
"相澤 薫が紫藤 密に問いかけた"
あの、幼なじみが。
目線すら合わせようとしなかった少女が。
「えと……これが三回目だ。」
「そう……たった2日で三回……何の冗談なのよ…よりによってこのタイミングなんて……」
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