一章~少年ハ少女二過去ヲ見ル~

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大抵の生徒はこっちを利用する。 もちろん密も普段はこっちだ。 ただ辟易してたがための、意味のない行動。 何も変わらないと嘆くのにも飽き、少しだけでも変えたいと思ったのだ。 意味なんてない。 結局、何一つ変わらない。 それでも………… 「………あ」 何時もの風景に"小さな変化が紛れ込む" 丁度、下駄箱に辿り着いた時。 相澤 薫がそこにいた。 早々に教室を去っていた筈の彼女が、今まさに靴を取り出そうと手を伸ばし……そして、密に気付いて動きを止めていた。 顔が密に向けられている。 そう、それもまた、変わらない日常との小さな差違。 彼女の瞳が揺れている。 無表情の中に驚きが潜んでいた。 彼女は靴へと伸びていた手を下ろし、密へと向き直る。 このタイミングで彼は口を開き――― 「よ……よぉ、今帰り」 「質問に答えて紫藤君。」 最後まで待つことなく、幼なじみは声を被せてきた。 「貴女と私……この2日間で、こうして鉢合わせしたのは何度目?」 小さな差違が大きくなっていく。 "相澤 薫が紫藤 密に問いかけた" あの、幼なじみが。 目線すら合わせようとしなかった少女が。 「えと……これが三回目だ。」 「そう……たった2日で三回……何の冗談なのよ…よりによってこのタイミングなんて……」
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