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撮影から3日後。
写真が揃ったらしく、雄平と有里菜の事務所へ行った。
写真は、前に映した教会の写真もあり、悠里は少しだけ緊張した。
慌てて雄平が悠里の手を握る。
拓「悠里ごめんな。
嫌なことを思い出す写真かもしれないけど…実はすごくいいんだ。
悠里が許してくれるなら、俺の写真集の表紙に使いたいくらいだ。」
教会のステンドグラスの前で、マリアベールを付けた悠里が手を組んで見ている一枚…あの事件が起こる直前の一枚だ。
有「私は反対したんだけど…確かにすごくいい写真なのよ。
ごめんね、悠里をこんな気持ちにさせるために呼んだんじゃないのよ…。」
悠里は、握っている雄平の手に力を込めた。
悠里を見る雄平。
悠「いつか…笑って話せるかな!?」
雄「ゆ…悠里!?」
悠「怖かった、出来事だけど、いつか、笑えるかな!?」
雄「悠里…無理しなくていいから。」
とっさに悠里の肩を抱く。
悠「大丈夫。
だって、写真は、ステキ、だもん。
私が、平気なら、写真も、生きる。
そうでしょ!?」
雄「そうだけど!!
あんな思いして、平気だったり笑えるなんて無理だよ。
悠里…そういう無理は一番いけない。」
悠「でも…、やっぱり、この写真、生かしたい。
このまま、消し去り、たくない。
私、きっと、大丈夫。」
雄「悠里…。」
悠「伝えて。大丈夫だって。」
雄「…悠里は、大丈夫だからって。」
拓「…いいの?使って。」
有里菜が悠里を抱きしめた。
有「さすがは悠里!!
あなたの気持ち、絶対無駄にはしないわ!!
ありがとう…。」
悠里は微笑んだ。
ぎこちない笑顔だったが、悠里の中で何かが変わった瞬間でもあった。
傍らでは…やはり心配そうに悠里を見つめる雄平がいた。
雄『悠里…。』
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