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悠「予約して、くれたの?」
琉「今日はバレンタインだし、どこも満席だと思ったから。
なんてかっこいいこと言ったけど、実は鷹人の受け売り。
悠里とデートする日が決まったから、鷹人に美味しい店を聞いたら、『予約しろ!!』ってさ…。
同じ歳なのに…アイツにはかなわないな…。」
悠「お兄ちゃん、だもん!!」
琉「…そうだな、兄貴なんだな…。
俺、高校からの付き合いだから、妹のことはあまりよく知らないんだけど…時々鷹人が話してくれてた。
鷹人が悠里を妹みたいに思うのも…無理ないな。
ちょっとだけ妬けるけど。」
悠「妬ける?」
琉「…まあな。
これはオトコの問題だから…。
さ、食べよう!!
冷めないうちに…。」
パスタのコース料理になっていたので、運ばれて来る料理をひたすら食べる。
どれも美味しく…。
「美味しいね♪」
なんて会話する間もなく料理が運ばれてくるので、悠里は食べることに集中した。
琉貴もまた、空腹を満たすべく張り切って食べた。
琉「美味しかったね…。悠里は?」
悠「美味しかった。
全部食べれたよ!!」
琉「なら良かった。」
デザートのときに、ようやく二人で顔を見合わせて会話した。端から見ると、かなり変わったカップルに見えるだろうけど…食事中に悠里が話しづらいのを知っている琉貴の心遣いが、悠里には十分わかっていた。
悠「あの…これ。」
デザートが来て、スタッフが去ったときに、悠里はバレンタインのプレゼントを渡した。
琉「まさかの…バレンタイン?」
頷く。
琉「ありがとう。
悠里に貰うのが…一番嬉しいな。」
笑顔で見つめ合ったあと、デザートを食べた。
帰るときに、レジに向かうと…。
「お代はいただいております。」
琉「え?」
「あちらのお客様から。」
二人してテーブルを見ると…鷹人と紗奈が手を振っていた。
悠里は、思わず紗奈に抱きついた。
鷹「おいおい、それは俺にしてくれよ!!」
琉「んなワケないだろ?
っつーか…普通に驚いた。
まさかの尾行?」
鷹「違うよ。
紗奈が、ここで食べたいって言うから、予約した。
そんだけ。」
琉「だって…。」
鷹「気にするな。合格祝いに貰っておけ。」
琉「ああ、ありがと…。」
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