新たな道

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鷹人の家でくつろいでいるときに、ふと思い出したように琉貴が携帯の電源を入れた。 着信28件。 メール12件。 琉「うわっ!!やっぱりな…携帯切っといて正解だよな…。」 悠「?」 琉「見たい!?俺の携帯がどんな状態か?」 悠里は首を左右に振った。 だいたい想像はつく。 紗「返さないと…また悠里がヤバいんじゃない?」 琉「大学の説明会ってことにしてある。 明日連絡するよ。 今だと、確実に連れ戻され兼ねない。」 鷹「俺の家に居るってのも…ダメか。」 琉「アイツなら…来る!! 今日は悠里との日なんだ…。」 鷹「なんか…奥さんに黙って浮気してるみたいだな。」 琉「浮気って、こんな心境なんだな…。」 紗「そこのオヤジ二人!!シミジミしない。 浮気の気持ちなんて解らんでいいから。 ねえ、悠里!?」 うん、うん…と大きく頷く。 琉「浮気じゃないんだけどな…。 何度言ってもダメなんて…もう病気だよな。」 悠「本気で、好き、なんだよ。」 琉「…確かにな。」 紗「なんか…悠里のほうが大人に感じる。」 鷹「…確かに。」 琉「な、なんでだよ!!」 紗・鷹「なんとなく。」 琉「そこはハモるなよ…。」 それから、しばらくは携帯のバイブ音が響いていたが、構わずに談笑し、悠里から送って貰った。 悠「ありがとう。」 琉「俺も降りる!!」 二人で鷹人の車を見送ったあと…悠里は琉貴の顔を見ようとして…遮られた。 抱きしめられ…耳元で囁かれた。 琉「今日は、ありがとう。 卒業して、大学行ったら自由だから。 あと少しの辛抱な。 悠里と居られる時間、俺にとっては宝物だから…。」 悠「ありがとう。」 同じように耳元で話す。 触れるだけのキスをして、歩いて帰って行った。 悠里は、見えなくなるまで手を振った。 ・
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