『プロローグ』

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ーーーー 軽快な音を立て、星空列車は走り出す。 今宵は満月の鈍色が美しい。 「今日の切符切りはあなたに任せます」 老人車掌が言った。 彼女は今回の運行が最後であると言っていたのを思い出す。引退、それが彼女にとって幸せな事なのか、辛い事なのか。私が想像したところで答えなんか出ない。 「はい。わかりました、案内アナウンスは右下にボタンがあります」 列車は暗がりを突き進む。街明かりの風景が妙に神秘的で幻想空間の安堵に満ち溢れていた。 「大丈夫ですよ。それよりもクジラ座は今年、白鯨の夢を見せるのよ。あなたもクジラ座に着いたら窓の外を眺めるといい」 「白鯨...」 しばらく考え事をしていると外には大粒の雪が舞っていた。 私は帽子を被り直し、運転席を後にした。
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