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『この度は御乗車誠にありがとうございます。当列車は各駅停車、星空駅行きデス。
多少車両が揺れる事もございますが、運行に支障はゴザイマセン。皆様の良き旅に我々が携われる事を心から感謝申し上げます。
次はぁ~、天の川~、天の川~』
もう天の川まで来ていた。
いつしか見ていた月光が飴玉のように小さく、遠くの方でひっそりと私達を眺めているような気がした。
車内に鳴る優しいオルゴールの音色に耳を傾け、私は茂夫さんを背に次の車両を目指し足を進める。
それでも、私にはどうしても気がかりが拭えない。
「キツネ...」
ぼんやりとそう呟く。
大輔くんが最後に言った言葉。
星空列車の切符を偽造し、大輔くんをこの列車へと誘ったものだ。
考えていてもしかたない。
古びた扉を力いっぱい開ける。
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