4号車『天の川夢幻航路』

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プツンと目の前が暗闇に包まれた。 シンと辺りも静まり返る。 それから数十秒くらいだろうか、視界が開けると私の衣服はボロボロになっていた。 まるで土木作業でもしていたかのように。 さらに辺りを見渡せば、そんな私を食い入るように見つめる太った男が一人。 彼は座席から立ち上がったまま、目を丸くして驚いた表情を見せていた。 赤いバンダナにTシャツ、パツパツのジーンズには不慣れな皮ベルトが巻かれている。年にすると20代後半だろうか。Tシャツの真ん中に「W」の文字が印象的だ。 「駅員さん!?ミユキは!ミユキはどうなったんですか!」 男は一目散に私に突っかかってきた。 見た目通りの力に私は両腕を掴まれブルブルと振るわれる。 さっぱり何のことかわからない。
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