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「残念ですが、私には業務があります。時間は割けないのです」
キツネ面がニヤリと笑った、ような気がした。
彼は徐にポケットから鍵を取り出し見せびらかす。どうやらそれは次の車両に繋がる扉の鍵のようだ。
『僕ちゃんを見抜けないと前には進めねぇっすよ。一瞬の選択とはのちの人生を大きく左右するもの。むふぅん、今のバカな若者にも教えてやりたいですわぁ。僕ちゃんの自論を!生き様を。で、ゲームやるっしょ?』
グイッとキツネが顔を覗く。
どうやら断れないようだ。
『なぁに、答えとは簡単なのです。これから僕ちゃんは、先程お二人に降り注いだ話をします。そうです、駅員ちゃんがこの車両に入り込んだ瞬間から記憶をなくすまでの話でさぁ。で、そこの肉の塊ちゃんが僕ちゃんの話を聞いて嘘を見抜くのです』
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