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『君、黄優ちゃん?』
白い肌、顎に見える黒子、
そして何より整った顔。
「はい、そうですよ」
少し白い歯を見せるだけ。
それだけで彼の思った通りに事は運ばれる。
『噂通り可愛いね。…今夜いい?』
「んふ、…貴方は私にいくら払えます?」
裏切りだらけのこの世界。
人を信じるなんて愚か。
教えたのもこの世界だった。
金が欲しい。…たくさんの金。
「っんあ、ふ、」
飢えた男の下でただ可愛い声を出すだけ。
その声で相手は麻痺する。
俺に夢中になる。
『また、よろしくね』
「…はい」
残されたのは汗ばむ身体、連絡先の書かれたメモ、そして綺麗な一万円札の束。
手にする度に失っていく。
苦笑いしか出来ない。
「くしゃくしゃのでいいのにな……」
『そんな事止めろよ!!』
(初めて叱ってくれた人
貴方に出会うのはまだこれからの話)
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