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「な……!?ま、待て!!」
少女はいきなりの相手の手に驚いたがすぐに追いかけ始める。
俺は最大限に瞬歩を使いどんどん離れていこうとするが、だんだん瞬歩の間隔距離が短くなってきた。
少女は自分の足では追いつけないと悟り、自分の半身である半霊に言う。
「行け!」
ガツン、と背中で鈍い音がした。その瞬間体の力が入らなくなり、地面に倒れ込む。刀は倒れた衝撃で遠くへと滑っていく。
ここで……俺は死ぬのか?こんないきなり知らない場所に着いて、小さな女の子にか?……だけど不思議と『死』に対しては何も感じなかった。そこまで意識が朦朧としているのか、それとも少女との対決があまりにも楽しかったからもう体が満足しているのか。どちらにしろ死ぬことに変わりはないからどちらでもいいけど。
「ようやく諦めたか……ではここで死んでもらう」
俺の首に刀を突き付け・・・。
「待ちなさい、妖夢」
刀を突き付ける少女に言う。
「ですが幽々子様……!」
「貴女はもっと冷静に物事を判断した方がいいわ、この子外来人でしょ服装があまり見ないものですもの」
それでも妖夢は食い下がらない。
「ですが幽々子様に危害を加えるかもしれませんよ!」
幽々子は妖夢を睨みつけて皮肉を交えた声で言う。
「何時から貴女は私に口答えできるようになったのかしら」
(まぁ、ただの脅しだけど……たまにはちゃんと教えなければ駄目だからごめんなさいね……妖夢、これも貴女のためなの)
「では……この者はどういたしますか?」
妖夢も主人が本気で言ったのではないと分かった為、男から刀を離す。
「とりあえず治療して目が覚めたら事情を聞きましょ」
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