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「……あの、来週まで考えさせてください」
ようやく重い口から吐き出せたのは、そんな優柔不断な返答でしかなかった。
看護師は大人の笑顔で頷くと、静かに診察室へと去っていく。
後ろ姿を目で追いながら、なぜかあたしはその場に沈み込みそうになっていた。
無意識に右手がお腹に触れる。
もちろん、まだ何の変化もない、つるんとしたお腹。
どくん。
感じられるはずのない鼓動が、てのひらに力強く伝わった気がした。
無性に、ただ無性に、耀ちゃんに会いたかった。
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