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その日の夜、あたしは父に電話をかけた。 父の声を聴くのは久しぶりだ。 はっきりとよく通る耀ちゃんの声とは正反対に、父の声はいつも少しかすれ、聞き取りづらかった。 「どうした」 普段あまりこちらから電話をしないせいか、父の声は心なしか弾んで聴こえる。 「うん。ちょっと報告があって」 努めて明るい雰囲気を意識しながら、あたしは言った。 しかし、そこから先がなかなか言葉にならない。 喉がカラカラに乾くばかりで、何度もごっくんと唾を飲み込んだ。
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