83 1辛な思い出

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数年前の六月、Cさんが高校の修学旅行で行った北海道で体験した話。 富良野にあるホテルに泊まった初日の夜のこと。 修学旅行の初日の夜ということで、当然のようにCさん達は眠らずにはしゃいでいた。 時計の針が深夜の1時を回った頃、悪友のYちゃんがCさんを部屋の外に連れ出した。 二人は真っ暗な廊下を抜けて階段を下りると、やがてホテルの裏口に出た。 そこで二人はスナック菓子を食べながら語り合い、Yちゃんが持ってきた煙草に火をつけた。 すると、二人の前に一匹の狐が姿を現した。 驚き喜んだ二人は狐にスナック菓子をやって誘った。 以前から宿泊客に餌付けをされていたのであろうか?狐は二人に近付いてスナック菓子をくわえた。 だが、必要以上に近付くことはなかった。 "北の国から"よろしく、それは嘘のような展開に吹き出しそうになった富良野の夜だった。 ヒットアンドアウェイのような動きを見せてスナック菓子をくわえる狐の姿を眺めながらほのぼのとしていた二人であったが、突然の出来事がそれを一変させた。 暗闇に鳴り響くジャーンジャーンというドラのような音。 二人は思わず顔を見合せ、狐は驚いたように走り去った。
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