45人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぇー、ひっく」
数分後、散々当たり散らした父は下の階へ戻った。
殴られ蹴られ…動けば痛いだろうに、七海はすぐに俺の元へ来て縄をほどく。
「にぃに、だいじょうぶ?」
自分の事より、他人の事。
叩かれた頬は赤く、蹴られた腕や足は青く腫れているというのに、それでも弱音ひとつ吐かない。
「ありがとう、七海…」
俺がそう言って頭を撫でてやる。
俺にはそうすることしか…。
「あ…そうだ」
「にぃに?」
「明日、父さんもいない。だから、俺と買い物にでも行かないか?」
少しでも、七海に幸せを。
俺の財布には、七海に何でも買ってあげられるだけの金が入っていた。
「…うん!」
最初のコメントを投稿しよう!