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「髪、乾かさなきゃ…」
大人しく、俺のあぐらの上に後ろ向きで座ってきた七海の後ろ姿は、前より成長した感じがした。
──ブォォー
ドライヤーで乾かしつつ、髪をすいていく。
終わると、七海は嬉しそうに微笑む。なんとも無邪気で可愛らしいが、その身体と心はボロボロなのだ…。
ふと、俺は七海を抱き締めた。なにか…失いたくない物ができた感じがした。
「にぃに…」
細くか弱い腕が俺の背中に回される。精一杯の力で、俺を抱き締めてくる。
大切。
だからこそ…守りたい。
この七海の温もり、優しさ…全てを守りたい。
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