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「にぃにをわるくいわないで!!わたしはおとうさんのとこにはぜったいいかない!!」
初めて聞いた怒鳴り声。
僅かな光で見えた七海の目は、しっかりと父を捉えていた。決意を秘めたような目だった。
「な…なみー…」
それを言われた父は、ひどく落ち込んでいるようだった。
「海斗ー…てめー…」
頭がフラフラするのか、父は壁に手を当てながら下へ戻っていった。
また、静寂な時間に戻る。
「大丈夫だったか、七…海…」
ふと、視界が歪む。
地面が解らなくなり、倒れていく。
「にぃに!にぃに!」
七海の俺を呼ぶ声だけが聞こえる。
いつの間にか、
意識が飛んでいた。
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