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「うー、ひっく」
下の階から、父が酒を飲み酔い潰れたまま帰ってきた音が聞こえてきた。
その音と同時に、俺の妹──七海が俺の背中にしがみつく。
一応寝たふりのために、布団の中へ入っている。その中で、しがみついているのだ。
何故こんなにも七海が怯えているか──それは父の暴力にある。
その暴力は、必ず七海へ向く。まだ10歳の七海は、ほぼ毎日続くその暴力に既に限界が来ていた。
見てみぬ振りをする母も、余計に七海へ辛さを与えるのだろう。
だから、兄である俺が守らねば──そう考えて、今に至る。
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