Act.4 -聖夜-

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「七海ぃーそんなに兄ちゃんを守りたいかー?」 父が七海に近付いてくる。 七海は何も言わず、さっきから同じ体勢で固まっている。 「七海ー、お前が大人しく来るってんなら、海斗にはなにもしねーぞ?」 父がそう言って俺を見下ろし、ニヤリと笑った。 「だめだ…!!七海…行くな!!」 だが、俺の言葉は虚しくも届かなかった。 ゆっくり俺を離れた七海は、目を潤わせながら、父のもとへ行ってしまった。 そのまま父は七海を連れて自分の部屋へ入っていった。 「……うっ、ぐぅぅ…」 非力すぎる自分に、ただ涙が出てくる。 連れ戻しに行こうと立ち上がり、部屋から出たあたりで、また…意識が飛んだ。
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