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このカイロを持ってきてくれたのは、七海だと分かった。
そして、昨日は着なかったはずのジャンパーが俺の肩にかけられていた。
──ガチャ
家の扉が開く音がした。
俺の前に姿を現した人物は、父だった。
「てめえは出てけ」
そうとだけ吐き捨て、父は再び家に戻る。
「……」
俺はどんな表情をしていただろうか。何も考えることなく、『にぃに、ごめんなさい』と書かれたカイロだけジャンパーのポケットに放り込んで、とりあえず歩き始めた。
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