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「お兄ちゃん」
七海のような、違うような、そんな声が唐突に聞こえた。
「お兄ちゃん」
いや、……“いた”。
ロングヘアーで白いワンピースを着たその人は、身長こそ違えども顔は七海だった。
それが、俺の前に現れた。
「お兄ちゃん、ごめんね」
「私が、お兄ちゃんのそばにいていれば、こんな事にならなかったのに…」
「は…?」
「お兄ちゃんは私を守ってくれたのに、私は全然お兄ちゃんを守れなかった」
「そんなことないだろ…?」
「ううん…。あの日、私は父に、お兄ちゃんの元へ行ったらお兄ちゃんを殺すと言った…。だから行けなかった…。けど私は行くべきだった…!」
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